青春事件簿
最近肌寒くなってきましたね。
天然パーマの僕は湿気に敏感なのですが、肌寒くなるにつれて髪型の乱れが緩やかになっていくので助かっていたりします。
冬などは髪につけたワックスが固まってヘアスタイルが乱れにくいんですよ。
本格的な冬が始まると自分が天然パーマであることを忘れるくらい髪のウネウネが気にならなくなる日が続きます。
そうしているうちに冬を越え、春を越え、梅雨を迎える頃に再び絶望するわけです。
髪が生えているうちはこれが続くと思うと泣けてきます。
そういえば、同じことを大学時代に酒の席で友人に愚痴っていた時がありました。
ちくしょう、世界中の人の髪の毛と陰毛が入れ替わればいいのにと下らない愚痴をこぼしたところ、一緒に飲んでいた友人が携帯電話をいじりながらサラッと放った言葉が忘れられません。
「仮にそうなったとしてもお前だけは今と変わらねぇな。」
こんばんは、癖っ毛侍のダイキベイダーです。
学生時代と言えば、最近大学時代や高校時代、中学時代のことをよく思い出します。
年齢が年齢なのもあり、年に何度か友人の結婚式に参加していることもその理由の1つかと思います。
少し話が逸れますが、仕事柄、小中学生の教育について携わることがあるんです。
その中で、教科書や問題集を見る機会があるのですが、問題から既に理解できないことがしばしばあります。とても自分が学生時代に解いてきたとは思えません。
もう全部忘れちゃってんですよね。
大学一年生の英語の授業中に、外国人の先生に英語で誕生日を聞かれ、11月5日をワン ワン ファイブと元気よく答えていたほどなので僕の地頭の問題かもしれませんが。
まぁそうやって学生時代の勉強は忘れていっても学生時代に起きた事件は鮮明に覚えているもので、今でも結婚式などで同級生に会うと10年以上同じネタでゲラゲラ笑っていることがよくあります。
本能寺の変で明智光秀に討たれたのは小田和正と真顔で答えたH君や、社会のテストで事前に新聞などを読み漁りイラク戦争についての論文を書いたにも関わらず全て『イラン』と書き間違えるという信じられないミスから0点を叩き出した H君、高校の修学旅行で飛行機に乗っている時に「今、この場で外に出たらめちゃくちゃ暑いだろうな。だってめっちゃ太陽近いぜ?」とドヤ顔で理科が幼稚園レベルであることを露呈した H君は、ここ10年、集まるたびに笑われています。
H君、大好きです。
島田紳助曰く、頭で記憶したことは忘れるが、心で記憶したことは忘れないだそうです。
学生時代の事件ってのは、心で記憶されてるんですね。
もちろん、友人だけでなく僕自身も事件の当事者になることがありました。
それは、高校2年生の古文の授業中。
50分間の授業にも関わらずわずか4分で尋常ではない腹痛に襲われた僕。
勘が冴え、腹痛の原因が屁であることを察した僕ですが、運の悪いことに左隣と前の席が学年ツートップの女ヤンキーだったんです。
当初、音の出ないように肛門を出来るだけ開いて屁をこいてやろうかと思いましたが、万が一においがあるタイプの屁であった場合に何が起こるか分かったもんじゃありません。
女ヤンキー達の彼氏は有名なヤンキー校の3年生であるという噂。
屁が臭かっただけでも十分殴り込みにくるような連中です。
名ばかりの進学校のスクールカースト中の中である僕が太刀打ちできる相手じゃありません。
残り約45分間我慢するという茨の道以外、僕に選択の余地はありませんでした。
我慢が始まると、1分がとても長く、まるで精神と時の部屋にでも入れられたかのような、そんなゆっくりとした時間が流れました。
お腹のガスはどんどん溜まり、もういいかいと言わんばかりに僕の肛門を刺激します。
まーだだよと何度言おうとも、すぐにもういいかいと投げかけてくる肛門。
今振り返ってもこの日ほど自分の肛門と向かい合った日はありません。
少しでも気を抜くと、その一瞬が命取りになる。
きっと巌流島で向かい合った宮本武蔵と佐々木小次郎も同じような状況だったのではないでしょうか。
目を見開き、脂汗を流し、前にいる女ヤンキーの茶髪をじっと見つめて耐える僕。
今思えば、左隣の女ヤンキーがそんな僕に気付いていたら屁をこかなくてもボコられていたと思います。
授業が終わるまで残り5分となった時でした。
残り5分かぁと心の中でほんの少しだけ安堵してしまったんです。
しかし、これが命取りでした。
僕の肛門は、そのほんの少しの緩みを見逃さなかったんです。
ここで、皆さんに質問です。
耐えて耐えて耐えて耐えたその先の屁は、どんな音が鳴るか知っていますか?
「ぶっ!」違います。
「ぶぅ〜〜〜〜」違います。
「ぶりぶりぶり!!」違います。
正解はですね、
パンッ!!!(破裂音)
まるで巨大な風船が割れたような音がするんです。
空気で膨らんだビニール袋を思いっきり潰した音やロケット花火が最後爆発する音と言えば伝わりやすいでしょうか。
とにかく凄まじい破裂音なんですよ。
事実、教壇に立っていた先生が、音の出た瞬間に少し首を引っ込めたくらいです。
あまりの破裂音にクラス中が「ステンレス製の筆箱落としたやつ誰?」みたいな空気になったんです。
女ヤンキーも「誰だよ筆箱落としたの」といった顔で教室を見渡しています。
何事もなかったかのように再開される授業。
九死に一生を得た僕。
あまりの安堵感から天井を見上げ静かに息を吐く僕。
静かに自身の勝利を噛みしめる僕。
幸運というものは、思いがけない時にそっと手を差し伸べるんですね。
ただ、この話が結婚式などで事件として語り継がれているということは結果的に屁だとバレていたんですよね。
チャイムが鳴って人生で一番長かった授業が終わった直後、クラスメイトの1人が僕の方に走って来て「さっきのあれ、お前の屁だろ?」と耳元で囁いてきたんです。
本当大好きです、 H君。