癖っ毛侍

それでも、天然パーマで生きていく。

盲腸事件

こんばんは、ダイキベイダーです。



人は時にとんでもない試練を迎えるものですが、僕の知る限り人生最大の試練は盲腸になった時でした。



社会人2年目のある夜、その日は新しく発足した仕事が忙しく、朝からバタバタしておりました。


2年目のペーペーのくせに「なるはやで」を連呼し、社内を小走りで移動していたくらいでした。


ただ、前日からみぞおちのあたりがキリキリと痛むといった症状に襲われており、「はっは〜ん、これが社会人のストレスですか」と鼻くそをほじりながら思っていたことをよく覚えています。



ただ、その日の昼になると、突発的な下痢に襲われたような痛みがへその下に感じられ、何度トイレにかけこんでも何も出ないという症状になっていました。



いつになったらこのウ◯コ出るんだよという苛立ちに駆られると同時に、会社の先輩から「顔色悪いよ」と指摘されるほどにまでなっていた僕は、午後2時ごろ病院に駆け込みます。



「先生、お腹がめっちゃ痛いです。」



腹部に手を当てたり、熱を測ったりした後に下された診断を僕は今も忘れることができません。


「糞詰まりですね」


そうか、なるほど。強情なウ◯コがいるだけか。


便秘薬を貰った僕は、腹部に洒落にならないくらいの痛みを抱えながら会社に戻ります。



仕事に没頭していると、色んなことを忘れられるものです。

プライベートのこと、読みかけの本のこと、見たい映画のこと。

そんなことも全部忘れて仕事に没頭する僕ですが、腹の痛みだけは忘れられません。



定時を超え、先輩からの飲みの誘いも断り、仕事を続けます。



気付けば同僚は皆帰宅し、会社には僕1人となっていた夜の12時。



ついに僕は思います。



この腹痛、そろそろやばいんじゃないか。




仕事も一段落していたので、後の仕事は明日に回そうと考えながら、なんとなく盲腸セルフチェックというサイトを見ます。




4つ以上当てはまった人は今すぐ病院へと前置きのある診断において7つ全てが当てはまるという快挙。



学生時代から勉強の出来なかった僕。



小学生時代以来の満点です。




おいおい嘘だろ、と疑いながら何度セルフチェックを試してみても満点を叩き出す僕。




こ、これはやばい!ということで近くの大きな病院に即電話


女の人が出てくれました。


「あのぅ、盲腸っぽいんですが。」




「はい?」



まさか聞き返されるとは思わず、さらにテンパる僕。

「いや、あの、昨日からお腹痛くて、今調べてみたら盲腸っぽいんですが。」



「え、ああ、そうですか。ちょっと待ってください。」




1分ほど待たされて別の女性が電話に出てくれました。



「ちゃんと診断したいんですけど、救急車が出払ってて、申し訳ないですけど自分で来れますか?




「え?自分でですか?…分かりました。すぐ行きます。」



すぐさま会社を出て、会社まで乗り付けていたマウンテンバイクにまたがり病院に向かう僕。



一漕ぎするたびにジンジンとお腹に痛みが広がります。



これ、本当に盲腸だったら俺すげーなと思いながら立ち漕ぎして病院に向かう僕。



ひーひーふーで呼吸を整え、病院に向かって走ります。


10分ほどで病院に到着し本来救急車の出入り口であるはずの通路に自転車でピットイン。




長い病院の歴史で自転車で救急救命口に乗り付けた病人は僕くらいじゃないでしょうか。


病院に入ると即座に診断が行われます。

レントゲン、血液検査、エコー検査。

その間も激痛は続きます。

30分程度診断が行われ、先生がサラッと言ってくれました。




「盲腸ですね。今から手術します。」





だと思ったよ!!!



叫びたい衝動を抑え、あえて深刻そうに頷く僕。



見てるか、そこの看護師さん。



多分さっき会社から電話した時に出たのアンタだよな?


アンタが救急車を断った男の子、本当に盲腸だったのに自転車でここまで来たぞ。



先生「それにしてもすごいね。自転車で来たんだって?」



あの人が来いって言ったからだよ!!!


とは流石に言いませんでしたが、少しはその罪を重く感じて貰いたいと思い「え、ええ…」と必要以上に痛そうな顔だけしておきました。



2時間後には手術をしてそのまま入院という手筈になったのですが、もちろんその時の僕はスーツ姿でお泊まりグッズなんてありません。


ふと先輩に飲みに誘われていたことを思い出し電話をしてみるとすぐに出てくれました。


5人ほどの先輩達で飲んでいたそうで、夜も遅くお酒が回っていたところだったので仕方がないことですが「うぃ〜!今ダーツバーで飲んでるー!いえーい!お前はよ来いやぁ!!ギャハハ」という声には少しイラっときました。




盲腸であること、この後手術をすることを説明すると「え!?マジで!?おい!今から手術するんだってよ!マジマジ!盲腸だってよ!いやマジだって!あはは!あはははは!いやいやどうもマジっぽいよ」という声が聞こえてきて少しイラっときました。



でも、持つべきものは先輩です。

その後すぐにベロンベロンの状態で病院に駆けつけてくれた先輩達。


水色の病人服を着ている僕を見て一通り爆笑したのちに、僕の一人暮らしの家まで行ってお泊まりセットを持ってきてくれました。


本当に感謝しかないです。感謝しかないのですが、お泊まりセットを用意するついでに僕の部屋のエロ本を勝手に持っていったのは許せない。



その後、無事に手術は成功してすっかり健康体になりました。


そういえば手術の日、たまたま研修医が数名いて虫垂炎(盲腸)の触診を行いたいということで僕のお腹を1人ずつ触りにきました。

俺、医学の未来に役立ったんだなと感じた時に盲腸になった自分が少し誇らしかったことを覚えています。





術後、すぐに元気になったのは良かったのですが、仕事が忙しすぎて手術してから2日後に出社したのも今となっては良い思い出かもしれません。




でも、よくよく考えるとそのあたりからですかね。


会社を嫌いになったのは。






人は時にとんでもない試練を迎えるものです。

いついかなる時にどのような試練を迎えるかなんて誰にも分かりません。

僕から言えることは、そうなったときの備えとして部屋のエロ本は見つけにくいところに常備するべきだ、ということです。

ワインバルが怖い。


こんばんは、ダイキベイダーです。


今日は満を持して言いたいことがあります。



前から思ってたんですけど、
ワインボトルのこの持ち方、もうやめにしませんか?




最近増えてますよね、ワインバル的なお店。


基本的に赤ちょうちんが好きな僕ですが、ワインも好きなので時々そういうお店に行くんですけどね、結構な確率でこの持ち方でワインを注がれます。



その度に万が一手が滑った時のことを想像してドキドキするの、もう嫌なんですよ。



いやきっと店員さんもワインラベルを見せたいとかそれっぽくしたいとかあるのは分かるんですけどね。



こちとらワインがぶちまけられないか心配でたまりません。



事実、こういう持ち方でワインを注がれてるお客さんの大半が会話をやめて注がれるのを見てますよね。


みんなもハラハラしてるんですよね?




たまにワインを注がれている間も話し続ける猛者がいますが、横目で見てハラハラしてますよね?







そもそもね、ワインバルの店員さんも僕からするともうちょっと控え目にした方がいいと思うんですよ。




席に来るなりドヤ顔でワインを紹介。


例の持ち方で俺はこんな危なっかしい待ち方でもワインを注げるんだぞというアピール。


「あなたの頼んだワインがグラスに注がれていっている姿、ご覧あれ」と言わんばかりの表情でグラスにワインを注ぎ、


「さぁ、飲んでみてよ」という言わんばかりの笑みを浮かべて厨房に去って行く。





アヒージョを置いてる店、大体こんな感じです。(偏見)






ワインの名前を聞いてもちっともピンと来ないのは僕が悪いと思いますし、名前を言ってくれたにも関わらず2秒後に忘れている僕もどうかと思います。



グラスに注いでくれるのはありがたいですし、去り際に笑みがあるのも接客として満点です。



だからそれらは許すにしても無駄にスリリングなあの持ち方だけはやっぱり許せません。



僕はワインを味わいに来たのであって、スリルを味わいにきたわけじゃありません。



手でワインに熱を与えるとか色々理屈はあるんでしょうが、万が一格好をつけているのであれば今すぐやめて下さい。





あとこの際言っておくと、ワインの味についての説明もざっくりしすぎです。


「口当たりが良くて、フルーティーでさっぱりしてますよ」とか言われても、よく想像がつきません。
こっちがさっぱりです。


フルーティーと言いますが、具体的に何の果物か説明してもらった覚えがありません。



そもそもいくら説明したところでアヒージョを頼んでいるような連中というのは
「あ、飲みやす〜い」としか言いませんよ。(偏見)







ちなみに僕がワインを頼むときは「なんか樽みたいな匂いが強いやつください」と頼み、
「樽みたいですね!」という感想を述べ、
すぐさまアヒージョを追加注文してます。








アヒージョ、大好きです。



ただ本当にあのワインの持ち方ドキドキするんだよなぁ…





にわか趣味に興じた夜

どうも、癖っ毛侍のダイキベイダーです。


ここ何回かの更新でことごとく自身の昔話をしたので今回は少し休憩したいと思います。



実は僕、革靴が好きなんです。



数えてみたら、今家に18足の革靴がありました。


特に好きなブランドは Church's (チャーチ)というイギリスのブランドでして、かつてジェームズ・ボンドが履いていた革靴のブランドでもあるんです。




まぁそもそも僕は全てにおいてにわかなので大した情報があるわけではないのですが、昔話をネタにするだけではブログは続かないのでここで革靴好きのキャラも付け加えておこうと思った次第です。


アイコンに使っている写真もこのチャーチというブランドのバーウッドというモデルになります。



実はこれ、ゾゾタウンの福引キャンペーンで10万円分のポイントが当たって買ったんですよ。


いやこれほんとなんです。



後で調べると1日に日本で1人しか当選者が出ない企画だったそうで、最高に嬉しい気分になったのですが、満を持して高額当選した景品が現金ではなくポイントというあたり逆に金運がないことを物語っていますよね。



この中途半端な金運、神様に一言言ってやりたいと思います。


天然パーマへの対価としては安すぎですよ神様。

そもそも胎内でパーマかけるなんて酷すぎますよ神様。

そのくせ思春期の頃に流行った髪型がサラサラのストレートって鬼ですか神様。


これで神様が天然パーマじゃなかったら僕何するか分かりませんよ?








とにかくポイントで手に入れちゃった一品なんですよ。



ポリッシュドレザーといってはじめからロウでコーティングされたようなツヤがあるので手入れも比較的簡単です。



手入れと言えば、ちゃんと靴磨きもしてますよ。


あまり知らない人も多いかと思いますが鏡面仕上げという靴のつま先が鏡のようになる磨き方とか色々あって楽しいんですよ。

革が自分色に染まっていって、世界に1つのオンリーワンになっていく過程を追えるんです。



渋い僕にはぴったりの趣味ですね。



こうね、靴を磨いていると自分の汚れまで落ちていくような気分になったりしてね。


仕事のミスとか思い出してね、それも拭き取れないかなとか思ったりしてね。


給料あげろやとかいう傲慢な気持ちも一緒に洗い流してね。


他にいい会社ないかなとかいう邪念も捨て去ってね。


同級生と給料の言い合いをした時に少し盛ったこも忘れようとね、磨くんですよ。


そうしていると気付けば黒霧島のロックを片手に磨いてるわけです。


誰かこの涙も拭き取ってくれませんか?



ということでたまには革靴にも触れてブログ更新していければと思ってます。




あ、そういえばまだちゃんと御礼ができていなかったので、御礼の意味を込めてこの場を借りて言わせて頂きますね。




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電車の中の悪夢





こんばんは、ダイキベイダーです。



前のブログでは僕がいかにイキった高校生であったかを書きましたが、今回もそれにまつわるエピソードを書こうかなと思います。



前回更新ブログ
男は格好つけの格好悪い生き物です - 癖っ毛侍




高校時代の僕と言えば、天然パーマに今よりも更に過剰なコンプレックスを抱いており、休み時間には整髪を怠らないナルシスト野郎でした。


ヘアセットも今よりもずっと下手くそだったので、癖っ毛が常に本領発揮しており、気になって気になって仕方がありませんでした。


元来、スポーツが好きな人間なのですが、汗かいて髪の毛クルクルになりたくないという理由から2日で部活を辞め帰宅部となったほどでした。


今になってみれば帰宅部になったことで色々と楽しい時間を送ることもできて特に後悔もないのですが、毎年甲子園や高校サッカー選手権を見ているとスポーツにかける青春も楽しそうだなぁと少しだけ天然パーマを恨みます。




いや、本当はもうこんな髪の毛むしり取って捨ててやろうかなという強い邪念に囚われます。



そんな僕だったので自分が他人からどう見えているのかが気になって仕方ないのです。


変な髪型していないか
変な顔をしていないか
変な格好していないか
変な匂いしていないか


など、思春期特有と言えばその通りなのですが、自分で振り返ってもかなり強度のナルシシズムであったと思います。


あれ?よく見たらそもそも格好良くないぞ?と気付いたのはそれから随分経ってからでした。


そんな僕なので、学校帰りの電車の中でも両手を学ランのポケットに突っ込んでイヤホンで音楽を聴くことを徹底し、それこそが電車の中で一番格好良いポーズであると疑いませんでした。



聴いていた音楽が尾崎豊であったことも、思春期特有の痛さを助長してますね。


いや尾崎豊大好きですけどね。今でもよく聴きます。




その日も、ポケットに手を突っ込みながら、流れ行く景色を細い目で見つめる僕。


その表情はまるで、遠い場所に最愛の恋人を残してきた旅人のようでした。


もちろん、生粋のチェリーボーイであったことは言うまでもありません。



イヤホンから流れる尾崎豊の歌詞は、思春期の僕の心を捕らえて離しません。



尾崎のその歌詞に、僕は強く同調するのです。


いつになればこの支配から卒業できるのか。


僕が僕であるために、勝ち続けなきゃならない。


(いつかチェリーを捧げるどこかの誰かに)I LOVE YOU...



既に僕の左足はリズムに合わせて小さくビートを刻んでいます。



もっともっと音楽の世界に飛び込んでやろうとそっと目を瞑った時でした。電車が急ブレーキをかけたのは。



ポケットに手を突っ込み、どこか哀しい表情で目を瞑りながら宙を舞う僕。


ポケットから手を出して受け身をとろうとしたのですが、両手がポケットに引っかかるというプチミラクルにより肩から地面に叩きつけられる僕。



慌てて目を開けると哀れな僕を見つめる女子高生。


そしてそのまま1回転半して仰向けになる僕。



後にも先にも電車の天井をまじまじと見つめたのはこの時くらいです。






やばいやばいやばいやばいと自分のダサさ具合に焦りまくったのですが、この格好悪い状況をなんとか打破しようと格好つけるのをやめないことに決定。


やれやれというようにフッと笑い、立ち上がります。



再び窓の外を見て、先ほどと同じように遠い目をして景色を見つめます。



と言うか、車内に顔を向けるのが恥ずかしく、そっぽを向くので精一杯です。


最寄駅に着き、溢れ出てきそうな涙を堪えながら自転車で全力疾走をして帰りました。



こんなことがありながらも、できる限り格好をつけ続けた高校時代。


男たるもの女にモテてナンボじゃい、と日々奮起しながら卒業までチェリーを守り抜きました。


そして卒業した今でも電車に乗るときは吊革を強く握って尾崎豊を聴いています。







男は格好つけの格好悪い生き物です

エレベーターを降りる時にノールックで『閉めるボタン』を押して出て行く人、かっこいいですよね。

うちの会社は11階にあるので、辿り着くまでに数人がエレベーターを降りていくのですが、そういう人が時々います。


ほんの稀に、開けるボタンをタンッと勢いよく押して出て行く人がいますが、その心意気を汲んで良しとしましょう。



先日僕も初めて降りる時に閉めるボタンを押してみたのですが、緊張のあまり体がエレベーターから出る前にボタンを押してしまい閉まってきた扉に体を挟まれました。


タイミング、難しいですね。


こんにちは、癖っ毛侍のダイキベイダーです。


そのエレベーターでの失敗で、何が一番寂しかったかと言うと、僕の後ろにその階で降りる人が控えていたこですかね。


体をぶつけたことで扉が開いて良かったです。


大変ご迷惑をおかけしました。





さて、僕がエレベーターをよく使うのには理由があります。それは喫煙所に行く為です。


禁煙ブームの昨今ですが、皆さまはいかがでしょうか。



僕は喫煙者です。
とは言えヘビースモーカーではありません。



2〜3日で1箱ペースですし、1年前から電子タバコアイコスを喫煙しているので、ヘビースモーカーとは言えないと思っています。



思い返してみれば、本当は良くないのですが高校時代に粋がった勢いでタバコに手を付け、早12年。



タバコ=かっこいいと本気で思っていた為、セブンスターやラッキーストライクなどかっこいい箱のやつを自販機で買っては、学校の近くの公園など人目につかないところで吸っていました。




まったく美味いと感じもしないにも関わらず「くぅ〜!これこれ〜」と粋がっては正直気分が悪くなっていたことをよく覚えています。



また、16〜17歳の男というのはほとばしるほどアホでして、友人も皆同じようにアホだった為、数人で集まるとアホが加速するんですよね。

(アホはお前だけだという異論は認めます。)


例えば、タバコというのは人差し指と中指の第一関節と第二関節の間で挟んで吸うのが一般的な吸い方ですが、アホ故にかっこいい吸い方を求めるんですよ。


親指と人差し指で摘んでみたり、中指と薬指に挟んでみたり、爪楊枝に刺して吸ってみたりしてカッコよさを求めていたんですね。


結局は人差し指と中指の付け根でタバコを挟み、手で口を覆い隠すようにして吸うというのが一番カッコいい吸い方だという話で落ち着いたのですが、正直これは今でもカッコイイと思っている自分がいます。



また、灰の捨て方にも格好良さを求めており、人差し指でタバコの中腹をトントンしたり、親指でタバコの吸い口を弾いてみたり、口で吹いて灰だけ飛ばそうとしたら灰が目に入ってみたりしていました。



結局は灰は好きなように捨てようぜという話になった昔の自分達が馬鹿っぽくて愛おしいです。




まぁそのようにアホの加速の延長上で今もタバコを吸ってしまっている僕なわけです。


会社の喫煙所では、皆が皆、思い思いに静かに、時々細い目で空を眺めたりしながらタバコを吸っているのですが、それぞれに馬鹿っぽいエピソードがあると想像するととても滑稽ですね。

(馬鹿なエピソードがあるのはお前だけだという異論は認めます。)



タバコは百害あって一利なしとは言いますが、色んな思い出ができたことは、吸っていて良かったかなとも思います。


白い煙の向こうには、馬鹿をしていた頃の思い出がゆらゆらと揺らいでいて、僕はそれに手を伸ばしてみたくなるのです。




ただ、本当にそろそろタバコやめたい。







青春事件簿


最近肌寒くなってきましたね。


天然パーマの僕は湿気に敏感なのですが、肌寒くなるにつれて髪型の乱れが緩やかになっていくので助かっていたりします。


冬などは髪につけたワックスが固まってヘアスタイルが乱れにくいんですよ。
本格的な冬が始まると自分が天然パーマであることを忘れるくらい髪のウネウネが気にならなくなる日が続きます。


そうしているうちに冬を越え、春を越え、梅雨を迎える頃に再び絶望するわけです。




髪が生えているうちはこれが続くと思うと泣けてきます。


そういえば、同じことを大学時代に酒の席で友人に愚痴っていた時がありました。


ちくしょう、世界中の人の髪の毛と陰毛が入れ替わればいいのにと下らない愚痴をこぼしたところ、一緒に飲んでいた友人が携帯電話をいじりながらサラッと放った言葉が忘れられません。



「仮にそうなったとしてもお前だけは今と変わらねぇな。」



こんばんは、癖っ毛侍のダイキベイダーです。



学生時代と言えば、最近大学時代や高校時代、中学時代のことをよく思い出します。


年齢が年齢なのもあり、年に何度か友人の結婚式に参加していることもその理由の1つかと思います。



少し話が逸れますが、仕事柄、小中学生の教育について携わることがあるんです。
その中で、教科書や問題集を見る機会があるのですが、問題から既に理解できないことがしばしばあります。とても自分が学生時代に解いてきたとは思えません。


もう全部忘れちゃってんですよね。


大学一年生の英語の授業中に、外国人の先生に英語で誕生日を聞かれ、11月5日をワン ワン ファイブと元気よく答えていたほどなので僕の地頭の問題かもしれませんが。



まぁそうやって学生時代の勉強は忘れていっても学生時代に起きた事件は鮮明に覚えているもので、今でも結婚式などで同級生に会うと10年以上同じネタでゲラゲラ笑っていることがよくあります。



本能寺の変明智光秀に討たれたのは小田和正と真顔で答えたH君や、社会のテストで事前に新聞などを読み漁りイラク戦争についての論文を書いたにも関わらず全て『イラン』と書き間違えるという信じられないミスから0点を叩き出した H君、高校の修学旅行で飛行機に乗っている時に「今、この場で外に出たらめちゃくちゃ暑いだろうな。だってめっちゃ太陽近いぜ?」とドヤ顔で理科が幼稚園レベルであることを露呈した H君は、ここ10年、集まるたびに笑われています。




H君、大好きです。










島田紳助曰く、頭で記憶したことは忘れるが、心で記憶したことは忘れないだそうです。


学生時代の事件ってのは、心で記憶されてるんですね。



もちろん、友人だけでなく僕自身も事件の当事者になることがありました。




それは、高校2年生の古文の授業中。


50分間の授業にも関わらずわずか4分で尋常ではない腹痛に襲われた僕。


勘が冴え、腹痛の原因がであることを察した僕ですが、運の悪いことに左隣と前の席が学年ツートップの女ヤンキーだったんです。


当初、音の出ないように肛門を出来るだけ開いて屁をこいてやろうかと思いましたが、万が一においがあるタイプの屁であった場合に何が起こるか分かったもんじゃありません。



女ヤンキー達の彼氏は有名なヤンキー校の3年生であるという噂。
屁が臭かっただけでも十分殴り込みにくるような連中です。


名ばかりの進学校スクールカースト中の中である僕が太刀打ちできる相手じゃありません。



残り約45分間我慢するという茨の道以外、僕に選択の余地はありませんでした。



我慢が始まると、1分がとても長く、まるで精神と時の部屋にでも入れられたかのような、そんなゆっくりとした時間が流れました。


お腹のガスはどんどん溜まり、もういいかいと言わんばかりに僕の肛門を刺激します。


まーだだよと何度言おうとも、すぐにもういいかいと投げかけてくる肛門。



今振り返ってもこの日ほど自分の肛門と向かい合った日はありません。



少しでも気を抜くと、その一瞬が命取りになる。


きっと巌流島で向かい合った宮本武蔵佐々木小次郎も同じような状況だったのではないでしょうか。



目を見開き、脂汗を流し、前にいる女ヤンキーの茶髪をじっと見つめて耐える僕。


今思えば、左隣の女ヤンキーがそんな僕に気付いていたら屁をこかなくてもボコられていたと思います。



授業が終わるまで残り5分となった時でした。


残り5分かぁと心の中でほんの少しだけ安堵してしまったんです。



しかし、これが命取りでした。



僕の肛門は、そのほんの少しの緩みを見逃さなかったんです。





ここで、皆さんに質問です。

耐えて耐えて耐えて耐えたその先の屁は、どんな音が鳴るか知っていますか?



「ぶっ!」違います。

「ぶぅ〜〜〜〜」違います。

「ぶりぶりぶり!!」違います。



正解はですね、



パンッ!!!(破裂音)



まるで巨大な風船が割れたような音がするんです。


空気で膨らんだビニール袋を思いっきり潰した音ロケット花火が最後爆発する音と言えば伝わりやすいでしょうか。


とにかく凄まじい破裂音なんですよ。


事実、教壇に立っていた先生が、音の出た瞬間に少し首を引っ込めたくらいです。



あまりの破裂音にクラス中が「ステンレス製の筆箱落としたやつ誰?」みたいな空気になったんです。


女ヤンキーも「誰だよ筆箱落としたの」といった顔で教室を見渡しています。



何事もなかったかのように再開される授業。





九死に一生を得た僕。




あまりの安堵感から天井を見上げ静かに息を吐く僕。



静かに自身の勝利を噛みしめる僕。


幸運というものは、思いがけない時にそっと手を差し伸べるんですね。



ただ、この話が結婚式などで事件として語り継がれているということは結果的に屁だとバレていたんですよね。



チャイムが鳴って人生で一番長かった授業が終わった直後、クラスメイトの1人が僕の方に走って来て「さっきのあれ、お前の屁だろ?」と耳元で囁いてきたんです。



本当大好きです、 H君。






墓参りの珍事


僕は地方の団地で育ったのですが、時々地元に帰ると、僕がそこで暮らしていた時よりも団地の平均年齢がぐっと上がっているんですよね。


当たり前と言えば当たり前なのですが、僕や同じ団地に住む小中学校の同級生達が団地を走り回っていたころとは全然違って、公園に子供はおらず、道行く人もほとんどが自分の親かそれ以上の世代の人になっています。


そりゃもう自分達が団地を我、この街を守る騎士なりと言わんばかりのドヤ顔で歩いていたのが15〜20年前ですからそうなるのも当然です。



よく登って遊んでいた大きな木も、秘密基地にしていた空き地も、誰の手も入らずに荒れ果てています。





何より街の高齢化を感じるのは、小学校の裏の下水道に定期的落ちていたエロ本が見当たらないことでしょうか。


本当に寂しくなったものです。


ただ、この間帰省した時に団地で唯一のコンビニに立ち寄って確認したところ、きちんとコンドームが売られていたのには少し救われました。


あなたとコンビにというキャッチコピーを痛感した次第です。



さて、僕のような30手前の男がそのような田舎に帰省するタイミングと言えばゴールデンウィーク、お盆、お正月になるのですが、その度になるべくお墓参りには行くようにしています。



他界した祖父には特に可愛がられていたこともあり、なるべく顔を出して近況を伝えるようにしているんです。


今年のお盆も同じように祖父の墓参りに行ってきたのですが、今回は私だけではなく従兄弟とその子供、叔父などと行って来ました。



祖父のお墓は手入れされていない雑木林に囲まれていて、夏場には無数の虫が飛び交っています。


線香を上げて手を合わせていても耳元で虫の羽音が聞こえてくるのですが、今回は3歳になる従兄弟の子供の声が聞こえ、久しぶりに賑やかなお墓参りになりました。


「ここにおじいちゃんが眠っているんだよ〜」などと叔父が子供に言うわけですが、今ひとつ理解できていない顔でウンウンと頷く姿が可愛らしくとてもホッコリした気分になっていました。



すると祖父の墓の裏側から一匹のミツバチが飛んできて墓の周りをクルクルと回り始めたんです。


子供は「ハチだぁ」と指をさしてケラケラ笑っていました。


僕は「近づいたら危ないよ。こっちにおいで」と子供に手招きしたのですが、叔父はそのミツバチを見ながら「おじいちゃんがハチになって会いに来てくれたね〜」と子供に言うのです。



中々気の利いたセリフを言うじゃないかおじさん。僕が小さい頃は「お前も将来ハゲてしまえ」と自分のハゲ頭を僕の顔に擦り付けてきていたのに。

年を重ねて叔父も粋なことを言えるようになったようです。



「えぇ!おじいちゃんハチになったの!?」と驚く子供。



ニッコリと頷く僕。



ぶんぶんと元気良く飛び回るミツバチ。



「さぁ帰ろうか」と立ち上がろうとした瞬間、ミツバチに手を刺される叔父。



「痛い痛い」とミツバチを振り払う叔父。



「やられた」と恨めしそうに手から落ちたミツバチを睨む叔父。



呆気に取られる子供と僕。



家に帰ってこのエピソードを伝えると誰よりも笑っていたのは祖母でした。



皆さんもハチには気を付けてくださいね。